2024年6月15日(土)第6回東京文芸部「読書会」を本郷3丁目で開催しました。
今回は4名(私:1人・男性:2人・女性1人)の参加でした。
本日は皆さんに今回は合計6冊の本を紹介していただきました。
ご参加いただいた皆様まことにありがとうございました。
また、体調崩されてしまったりご家庭の事情があって来れなくなってしましまった皆様もぜひ次回お越しくださいね。ご参加お待ちしております。
ご興味が湧いた方はぜひお越しください。
紹介された本の前に、本日のワークショップ
せっかく集まっているのだし一人ではできない体験をしようというのがコンセプトの東京文芸部では、一人ではできないワークショップ(ミニゲーム的なこと)を時間があればやっています。
本日はお題をその場で引き、制限時間内に持参された本の中からそのお題に対する答えとなる文章を見つけてくるというミニゲームをやりました。
具体的な内容
・画像のようなお題を出します。
・2チームに分かれてそれぞれの本の中からお題に対する答え探します。
・他のチームに自分のチームの回答を共有します。
・回答を見て、「たしかに」と神妙な顔をしたり、「おもしろい」と笑ったりします。
というような感じでゆるくやりました。
別に面白いことを言う必要はないんですが、皆さんのお題の回答がそれぞれとても面白くて非常に盛り上がりました。自分ひとりではなかなかできない体験だったのではないでしょうか。
(皆さんのご回答については、一度本の概要を知ってからの方が面白いと思いますのでうしろのほうに書いておきます。ぜひ皆さんが紹介された本を見ていただきつつ「この本だったらこれかな……」みたいな感じで考えてみてください)
ご興味が湧いた方はぜひお越しください。
本日紹介された本・前半戦
本日の読書会では、本を撮るのを忘れてしまったため皆さんに外で本を持ってもらいながら撮影をしました。
『蝉しぐれ』藤沢周平さん
紹介者の方は、学生時代に国語の教科書でこの本と出合い、その綺麗な文章に惹かれて本書を何度も通読したそうです。当時、教科書に掲載されていた冒頭のストーリーを細かく暗唱された際には本書への愛を強く感じました。
「武家に生まれて厳しく育てられた主人公のブンシロウの10代のころから60代になるまでの人生が描かれています。幼少期から一緒に育っていたフクとの絆の描かれ方が見事です。二人は愛し合っているのだと感じられるのですが、それが直接的には描かれていないというのも私の好みです」
私はどこか、カズオイシグロさんの作品を思い出しながら紹介者さんの説明を聞いていました。
出版社は文芸春秋さんで、発売日は1991/7/10です。本書が気になった方はぜひハイパーリンクからご購入ください笑
『あなたのための短歌集』木下龍也さん
著者は歌人の木下龍也さん。
木下さんがお金をいただいた依頼者の方と話をして、その話をもとに依頼者のための短歌を詠むという営みを本にしたものです。見開きで左ページに相談内容、右ページに依頼へのこたえとなる短歌一首が掲載されています。
「短歌というのは今の時代にあっているのかもしれない」
紹介者の方がこんなことをおっしゃっていましたのですが、私もそう感じました。31文字の短歌ならばせわしなく動くスマホ画面の指を一瞬だけピタっと止めて読ませることができる。そしてそこに凝縮された広くて深い文脈を感じ、もう少しちゃんと味わってもらえる。そんな瞬間を生み出せるのが短歌だよなと思いました。
なお、著者の木下さんは本書の印税をいただくことを拒否しているそうです。なぜならば報酬は既に依頼主にいただいているから。そこで本作の印税分は、全国に多様な短歌を広げるために使われるそうです。イヤカッコヨスギィ。
ということで本書が気になった方はハイパーリンクよりご購入ください笑
『九十三歳の関ケ原–』近衛龍春さん
主人公、登場時には60代。
歴史小説が好きだという紹介者の方が持ってきてくださった本書は、当時から考えると相当高齢な時期から主人公が登場します。
60代の頃に織田信長につかえることになり、その後70代くらいの頃に豊臣秀吉につかえ、90代の頃に徳川家康に伝えることになる大島光義さんはなんと九十三歳にして戦場に出ていたとのこと。なんとこの方、実在していたそうです。
「歳をとってしまったなと感じることが増えてきましたが、還暦でも活躍している登場人物を見て自分はまだまだ若いし頑張らなければと思った」
この主人公の魅力はまだまだたくさんあるようです。小柄ながら自分が活躍できる弓で手柄を立てていった戦略家、様々な武将に仕えて一兵卒から最終的に小さいながら大名になった出世の達人、ちょっとここには書ききれません。
ということで本書が気になった方はハイパーリンクでご購入ください笑
本日のワークショップ
さて本日はこれらの本を紹介していただいたあとに、ワークショップをしました。
あらためて、お題はこれ。
本の中から”自分が言われたら”そんなこと言われましても……ってなっちゃうな~と思う文を探してもらいました。
制限時間は5分ということで皆さんに回答してもらったところ、4つの回答をいただきましたので、そのうち3つをご紹介します。
(ちなみに、このゲームを持ってきた僕は一つも出せませんでした……。)
回答例①『蝉しぐれ』藤沢周平さんより
こちら物語のネタバレが一部含まれますので、イヤな方は読んでからご覧ください。
そんなこと言われましても……なんて言われた?
『あなたの子供が私の子で、わたしの子供があなたの子である道はなかったのでしょうか?』
登場人物が60歳くらいの頃に言われたセリフのようですが……
その場では笑いましたが、冷静に文字を打ちながら読んでいると神妙な気持ちになりますね。
回答例②『あなたのための短歌集』木下龍也さんより
こちら本のネタバレというほどのものは含まれていませんが、イヤな方は読んでからご覧ください。
そんなこと言われましても……なんて言われた?
『お題は私の名前の「さくら」です。』
歌人が自分のための短歌を詠んでくれるときの依頼内容です。これ、自分がもし依頼されたら厳しいですよね笑 でも、作者はちゃんとこの依頼に応えた短歌を返しています。プロはすごいですよね。
回答例③『九十三歳の関ケ原–』近衛龍春さんより
こちら本のネタバレというほどのものは含まれていませんが、イヤな方は読んでからご覧ください。
そんなこと言われましても……なんて言われた?
『遅い、遅い。まだ放てぬのか。』
戦場で矢の達人であるご老人が言ったセリフ。これは矢を撃とうとしている側からしたらまさに「いや、そんなこと言われましても……」となるひとことですね笑
ということで、こんな感じで普段の読書会ではあまり触れられない一文をテーマにしてみると、これはこれで面白くて紹介された本をますます読みたくなってしまいました。(というか既にポチっていたり……笑)
ご興味が湧いた方はぜひお越しください。
読書会、後半戦
『えーえんとくちから』笹井宏之さん
短歌です。
作者の笹井宏之さんは短命でしたが、多くの方々に影響を与えています。ご本人のお名前を冠した短歌賞があり、受賞すると出版社から歌集を出すことができるそうです。
好きな作品を伺うと、
「ひらがなの使い方が好きです」と見せてくれた一首が私もとても気に入りました。
伺っていてよく分かりましたが、紹介者さんは深く本作を読み込まれておりおっしゃっている解説が大変よく分かりました。
短歌の読み方は人によりますが、という前置きをしていたので詳細はここでは書きませんが非常にしっくりくる解説をしてくれました。人の解釈を知ることができるのも読書会の楽しみですね。
『うまい日本酒はどこにある?』増田晶文さん
海外で日本酒を販売されていた紹介者さんが、あまり日本酒を知らないと思っていた頃おすすめされて、よかった本だそうです。
内容としては「日本酒愛の強いおっちゃんが語っている」本です。そんなおっちゃんこと作者さんは、最近新しい本も出されているそうなのでご興味ある方はぜひ調べてみてください。
外国で日本酒を売る際に海外の方がまず驚かれるのって、その技術なんですって。
具体的には洋酒の原料にあるブドウはもともと甘い、でも日本酒の原料はもともと甘くない。それをああいふうな味にするという技術に驚かされるそうで。
私はこれを今後日本酒を飲むたびに、うんちくマンとして語る人になろうと思います。皆さんも特別に真似していいですよ。(伝聞の記憶なので、僕が聞き間違え・記憶間違えしてたらごめんなさい笑)
『火竜の山』樋口明雄さん
山の小説です。
「最初は山岳救助のレポートをするような語り口の小説なのかと思って読んでいたのですが……様々な登場人物視点の目線で書かれた小説でした。自分は、悪者っぽく書かれている登場人物の過去に感情移入してしまいましたね」
紹介者さんが概要を話してくれたあと、別の参加者さんからなんでこの本を手に取ったんですかと質問がありました。
実は紹介者さんは登山好きだったようで。
「登山あるあるな言葉とかがよく出てくるんですよね。例えば自分は経験ないんですが、鎖場とか」
「そうなんですね。私趣味でたまにクライミングをすることがありまして」
なんて会話に突然はじまったんですが、これも読書会の楽しみですよね。
ご興味が湧いた方はぜひお越しください。
その後
読書会後は今回は3人でランチに行きました。
私はステーキを食べました。
寝不足だったのでランチ後は一人でカフェで半分眠っておりました……(コーヒー三杯飲みました笑)
次回は7月09:30~読書会を開催しますが、会場を神保町とか新宿にする予定です。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。是非読書会にお越しいただき感想ください笑。