第4回「東京文芸部書く会」活動報告

2024年1月27日(土)第4回東京文芸部「書く会」を新宿のレンタルスペースで開催しました。

今回は6名(私:1人・男性:2人・女性3人)の参加でした。

今回は小説を書いた方が3名、詩を書いた方1名、絵と小説を書いた方が2名でした。

皆様、ご参加ありがとうございました。

本日のワークショップ

本日も、自己紹介をしました。

その後、みんなで創作体験ワークショップをやりました。※東京文芸部では、せっかく集まっているので一人ではできない体験をしようというのをコンセプトにしたワークショップを時間があればやります。

今回は第1回読書会にて参加者にご紹介いただいた「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」から着想を得て「見えてない相手にアートを説明するワークショップ」をしました。

段取りは以下のような感じです。

・2チームに分かれてそれぞれお題となる絵を決めます。

・自分のチームのお題の絵は、相手には見せずに説明をします。

・聞き手側がある程度絵のイメージがついたと思ったタイミングで絵を見せます。

・イメージと同じ部分と違った部分を語り合います。

以上です。

このワークショップを体験すると、自分が説明した内容が相手にどう伝わっているか、伝わっていないのかがよく分かります。

参考にさせていただいた絵

FACE2024 優秀賞 「探究」 佐々木 綾子さま

上野の森美術館大賞 優秀賞 フジテレビ賞受賞作 「答えなさい!」 白肌 4さま

ということで上記からインスピレーションをえて6つの創作物ができました。(うち2作は非公開です)

本日の創作物

「xxxしなさい」

男は何事かを私に向かっていっているが、何を言っているのかはよくわからない。
ここは、地下の事務所。
なぜ私がこの場所にいるのかはわからない。
薄暗く、かび臭い空間。壊れた椅子。よく手入れされた本革製のレザーチェアがそっぽを
向いて置かれている。
置かれているというより、乱暴に扱われて部屋の隅でデスクとは全く別のほうを向いてい
るといったほうが正しいか。
先ほどまでわたしは会議に出て、普段の疲れから一瞬、居眠りをしてしまった。
気づくと、今ここにいる。
わたし自身、拘束されていないことに気づくまで5分ほどかかった。
それほどまでに何もかもがあいまいで、何もかもがはっきりとしない。
頭の中にもやがかかったようになっており、意識がもうろうとしている。
いくらなんでもこんなに疲れているものか。ありえない!
脳梗塞なのか、多臓器不全などの症状がこのような景色を私に見せているのか。
わたしは思い切って立ち上がり、錆び切ったドアをあける。
ドアを開けると薄暗い廊下になっており、一歩ずつ踏み出すごとに床に足が埋まるような
感覚がある。
とても長い廊下だ。少しカビ臭くもあるが、懐かしいような感じもするにおい。
ただ、気持ちは明るくはならない。むしろ、何が起こるかわからない気分にさせられる。
ひとつひとつドアを開け、部屋を見て回る。
どの部屋も薄暗く、廃墟ではないことはわかるのだが、ここはまともじゃない。そう自分
のカンが早鐘のように訴えかけてくる。
xxxなさい。奥のほうから声が聞こえる。
だいぶ奥のほうだ。どこからしているかはわからないが男の声。
バリトンの中でもずっしりと重く、遠くまで響くような声。
xxxなさい。
何を言っているのかはわからない。
xxxなさい
何を言っているのか。そうか、私はたぶん意識を失っているのだ。
目を覚ましなさいと言ってるのか。
xxxなさい

その声が突然、目の前でこだまする。
いつの間に近づいてきたのか。命の危険を感じる。いつの間にか私は下を向いている。
上を向くんだ
そうだ、早く上を向け!!早く。
このままでは私はクビだ。
早く上を向くんだ。わたしは会議に参加している。寝ている場合ではない。
xxxなさい
こたえxしなさい
わたしは上を向く。
異形の何かが(はっきりとは見えない)仁王立ちでこちらへ語りかける。
決して怒っている風ではないが、こんな人物、私が参加していた会議の席にいたメンバー
にいない。
バリトンの声の主などわが社にはいない。
誰だ。いったいお前は誰だ。
答えなさい
再び異形の男は語りかける。
決して焦らせようという意思は感じられないが、答えよという圧は有無を言わせぬものだ
。
答えなさい
xxxしなさい
xxxxxxいんだ
xxxxxxxxたい
xxxxしなさい
xxxxでいいんだ
xxxxxxを知りたい
xxxxxxなさい
再び男の声が遠のいていく。
何事かを男は話している
こたえを出しなさい
異形の何かの何かが見えた

それは黒っぽいようで、白く、眼は細く長く、口紅を塗ったように薄く平べったい。
腹のあたりになにからせん状のなにかが渦巻いており、明らかに人間ではない何かだ。
ゴリラのようにも見える。
こたえを出しなさい
君の答えだよ
君の思う答えを出しなさい
正解なんてないんだ、端から誰も正解なんて求めてなんかないさ
そうだ、君の答えがほしい
君の求めている答えが欲しいんだ
君ののうがほしい
君ののうでいいんだ。何を考えているか知りたいんだ。
わかるだろう。私のこの気持ちを考えれば答えなんていくつあっても意味がない
腹にらせんを抱えた異形の何かは細い目をもっと細めてにこりと笑う
しかし、わたしにはわかる。こいつの目は笑ってなんかない
こいつの心は笑ってなんかない
異形の何かは首についた何かをしきりに愛撫する
そのたび異形の何かは声を出さずに笑い、青い顔を赤くして目を見開く
見開いた目には目玉がなく、肉の空間が奥のほうまで広がっている
君の答えがほしい。のうがほしい
何を考えているか見せてくれ。感じさせてくれ
それにはのうが必要なんだ
君ののうが必要なんだ
わたしは走り出す
ここは会議室なんかじゃない。ここは会社なんかじゃない。俺は病気なんかじゃない。
俺は病んでなんかいない。こいつは俺の上司じゃない。こいつは人間なんかじゃない。
ここは東京じゃない。こいつは知ってる誰かじゃない。誰も助けてなんかくれない
俺は答えなんて持ってない。のうってなんだ。答えってなんだ。俺の思いってなんだ。
この空間はなんだ。あのらせんはなんだ。あの目はなんだ。あの唇はなんだ。
首についたあの何かはなんだ。答えってなんだ。

わたしは走る。誰も追いかけてこない。
だけれどもわたしは走る。
いっせいにドアが開く。
君ののうをみせてくれないか。
わたしにはそれが答えだ。
答えを出しなさい
答えなさい。
yesかnoだ
答えなさい。
yesかnoだ
答えなさい。
yesかnoだ
おれは走れない。
俺の答えはNOだ。お前に俺の脳はくれてやらないぞ!

「くらやみの職員室」

生徒たちにとっては放課後のチャイムが鳴った。生徒たちの甲高い笑い声が廊下を反響

して職員室まで響いてくる。
「あぁ……」
 授業が終わった。あと一時間後、職員会議だ。そのあと教務課の勉強会がある。この前
教頭から怒られたばかりなのに、職員会用の資料に関するデザインも全然できていないし
、勉強会内容もまだ資料に落とし込めていない。また、明日までに教育委員会への不登校
生徒に関する報告書を作成し学年主任の教員の添削を受けなければならない。
 渡辺は胸、背中、頭の中に憂鬱な感情がじめじめと広がるのを感じた。ほんの少し気分
を変えるために、お茶でも飲もうと自身のカバンに手を伸ばそうとすると、今年で六十歳
となった男性教員がやってきた。
「渡辺先生、教務システムにログインできなくなっちゃったんだけど初期化ってどうやる
んでしたっけ?」
 ただでさえ忙しいのに話しかけてくるな。そんなことを思った時こそ笑顔になるように
心がけている。普段から意識しなければそれを生徒にもやってしまいかねないからだ。
「あー、ややこしいですよねあのシステム。前にお渡しした穂波先生のマニュアル通りや
っていただければ……いけそうですかね?」
「だからそれを見ろって言われたってね、なんか分かりにくいんだよねあれ。ほんでね、
その資料作った穂波先生はサッカー部の顧問とやらでお忙しいみたいで今もどこいっちゃ
ったかも分からないし。ちゃんと指導してますか?」
「穂波先生もなかなかお忙しいですからね」
「忙しいっつたってさ、みんな忙しいのは一緒。これ、ニコニコする話じゃなくて真剣な
話だけどね、社会人なんだから責任を果たさなくちゃいけないとは思わんかね、渡辺先生
」
 その後しばらく六十代の男性教員は、穂波教員と近年の学校現場へのデジタル業務のお
気持ち表明をしていった。半刻くらいは経過している。
 渡辺は机を見た。堆く積まれた生徒たちのプリントや各課に提出しなければならない報
告書の山を整理したいと思ったのはいつだったろうか。机上が白黒の紙面で埋もれ、今に
も崩れてしまいそうな中で絶妙なバランスを保っている。生徒たちの期末テストの採点業
務を明日までにやらなければ、総合点が出揃わないことに気がついた。
 夜の二十二時になる頃、もう学校には渡辺しかいなかった。そろそろ帰宅しなければ勤
怠上の問題となってしまう。採点業務は家に持ち帰ることにして、茶封筒に一枚一枚確認
しながら生徒たちの答案用紙を入れていく。
「一枚ないぞ」
二十二時になった瞬間、デジタル化が進んだ学内の電源が一斉に落ちた。

「微分ネキと私」

職場@@@
--「どういうことか教えてください」
今日もまた詰められる。叱咤叱咤の晒しはいつになっても慣れない。
みんなはよく頭が真っ白になる、というが僕の場合は黒になる。周りが黒になる。
デスク、ホワイトボード、端末が黒になる。
僕の世界を構築するものの抽象度は高速で上昇する。
目に血が滲む。赤がこぼれ、同僚は肉塊へと姿を変える。
--「なんでそこを見落とした?」
目に血が滲んでるんじゃない、肉塊(元同僚)
から血が流れてる。
ごめん、俺のせいでみんなベーコンの2度焼きだ。でもみんな叫んでない。僕だけが直立
してるこの世界で、みんな僕の方を向こうともしないし、音を発さない。
僕の世界の画素数が急激に下降し、面は線になり、線は点になる。
これ以上僕の世界を微分するのをよしてくれ。

--「答えなさい」

叱咤は続くよどこまでも。
先刻同様動揺止まらず童謡聞かせて精神安定。
安定束の間怒号が飛来 
見ないで私を しないで晒しを
嫌い嫌いも好きのうち 
なわけあるかい断固拒否
無頼無頼をしたがえど
庇ってくれないどろ乞食
スマートワークもクソ喰らえ
捌いて湧いてお利口さん
件の障害 また来た論外
集めてハヤシ もらい泣き
過去未来よりもやっぱイマでしょ
執着依存のない今人
暇人捗る猛イマジン
すべすべ地肌を優しくなぞれば
内から崩壊朽ち骸
あむぎり解放虚無ドット
構ってちゃ
--「つまりなんなの」
げんいんはこちらにありましててん
りりーすのさいのもれがこんぽんかとてん
たいさくをこうじてん
いごじゅうぶんにちゅういいたしますまる
あたまをさげるまる
ふかくさげるまる
--「もういいです」
ボタン
木工用ボンド
黒
囮捜査
鳥
広辞苑
お茶の水
車
ドリル
podcast
ケープロ
よすが
明け方
鯉のぼり
首領蜂
サドンデス
モーマンタイ

逆様邪八宝塞
ロビンソン
粗品
ベースメントバー
カウス師匠
恋に恋する
老婆心
土鍋
ゾーニング
ハイカラさん
--「いいから」
さドー��、!membokunai( ^ω^ )
くぁwせdrftgyふじこlp
繧≧縺ィ縺-縺ゅ■繧s
_?''

@@@指Eくヴァ@@@
どれくらい経ったのかわからない、僕の頭の中で言葉は崩壊し、繋がりを見出すことがで
きなくなっていた。
言葉達は徹底的に分解され、文字化けを引き起こすこともあった。
しかし今ではほぼ元通りだ。
この世界の色は黒、
そこに転がっているのかつてのドうリEウはすっかり渇ききって、僕の世界は滲みきり、
彼らと馴染みきっている。
僕はどう見えるんだろう、叱咤ing中はきっと顔が真っ青だったんだろう。
僕の感覚的には足は動かず、そこに根を張っているようだ。
苔むしているだろう。僕の世界が残酷にも色を取り戻しつつある。
僕がどうやって世界、つまり言葉の認識を取り戻したのか、デジタルの世界からアナログ
の世界に復帰したのか、その話をしたいんだが、
誰かが呼んでるみたいだから、また今度するね。
待てなかったら赤ん坊にでも聞いてくれ。彼らは日々とてつもなく進化してるんだ。
積分の勉強をしておくように。
誰か呼んでる。
--「答E■��い」

無題(小説)

終わりに

終わったあとは、6人みんなで飲み会にいきました。

みなさん酔っぱらっておられました(笑) とても楽しかったです。

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