第7回「東京文芸部読書会」活動報告

2024年7月13日(土)第7回東京文芸部「読書会」を神保町(水道橋駅付近)で開催しました。

今回は5名(私:1人・男性:2人・女性2人)の参加でした。

本日は私を除いた皆さんに今回は合計8冊の本を紹介していただきました。

ご参加いただいた皆様まことにありがとうございました。

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ご興味が湧いた方はぜひお越しください。

紹介された本の前に、本日のワークショップ

せっかく集まっているのだし一人ではできない体験をしようというのがコンセプトの東京文芸部では、一人ではできないワークショップ(ミニゲーム的なこと)を時間があればやっています。

本日は第6回と同じくお題をその場で引き、制限時間内に持参された本の中からそのお題に対する答えとなる文章を見つけてくるというミニゲームをやりました。

具体的な内容

・画像のようなお題を出します。

・2チームに分かれてそれぞれの本の中からお題に対する答えとなるような一文を探します。

・他のチームに自分のチームの回答を共有します。

・回答を見て、「たしかに」と神妙な顔をしたり、「おもしろい」と笑ったりします。

というような感じでゆるくやっています。

別に面白いことを言う必要はないんですが、皆さんのお題の回答がそれぞれとても面白くて非常に盛り上がりました。自分ひとりではなかなかできない体験だったのではないでしょうか。

(皆さんのご回答については、一度本の概要を知ってからの方が面白いと思いますのでうしろのほうに書いておきます。ぜひ皆さんが紹介された本を見ていただきつつ「この本だったらこれかな……」みたいな感じで考えてみてください)

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本日紹介された本・前半戦

本日の読書会では、上記の本とあと何冊かが紹介されました。(※ややこしいですがゲームシナリオの書き方は紹介されてないです笑 Kindleで紹介された本もありましたので、そちらは下記でご紹介します)

『有頂天家族』森見登美彦さん

森見登美彦さんのたぬきが主人公の小説です。

読書会初参加である紹介者さんは、森見さん作品の中で一番初めて読んだこの本を人生初の読書会紹介本として紹介してくださいました。

主人公であるたぬき達が京都を舞台にわちゃわちゃしているというこの物語。紹介者さんの話を聞いていると、人間に化けているっぽい模様。

「昔森見登美彦さんも京都に住んでいたのもそうですが、森見さんの作品は背景描写がとてもリアルで。それから擬音語とか擬声語が多用されるんですが、それがまた気持ちいい感じで、文章が転がっていくっていうんでしょうか、スラスラ読めるんですよ」

語りを聞いていて、森見さん作品が本当に好きなんだなと思いました。

「悲しいエピソードもあるんですけど、それもカラっとしてるんですよね」

どんなエピソードか読んで見たい方はぜひ(当HPのリンクから)ご購入ください笑

『 i 』西加奈子さん

「この世界に愛が存在すると思いたいときに読んでください」

めっちゃおしゃれでキャッチーなセリフで紹介していただきましたこちらの本は’アイ’ちゃんが主人公の物語。

シリアで生まれ、アメリカ人の父と日本人の母の養子として育てられたアイちゃんは、世界は悲しいニュースで溢れているのに、自分は恵まれた生活を送っていると感じながら生きています。

この物語では、家族愛、恋愛、友愛など様々なアイが登場します。紹介者さんは特に友愛の話をイイナと感じたそうです。

「最近って、理解できないとか怖いとか気持ち悪いとか、そういう理由で仲良くしないとか、そういうのが多いと思うんです」

そう語った紹介者さんは、小説の一文を紹介してくれました。

「理解できなくても愛し合うことはできると思う」

この小説にはそんな物語が描かれているそうです。

『君と会えたから……』喜多川 泰さん

女の子が男の子に伝える物語形式で書かれた啓発書です。

テーマは「夢をどう実現していくか」とのことでした。

紹介者さんは本当は同作者さんの違う本を買う予定だったそうなのですが、売っておらずこの本をご購入されたそうです。と、そんな購入経緯とは裏腹に、紹介していただいた本にはたくさんの付箋が貼ってあり、とても大切にこの本を読まれていることがよく分かりました。

将来約束されたことは死だけだ、と本書には書かれています。

「夢を遠ざけてしまうのは、うまくいかないことを想像したときだと思う。だけど昨日までの自分ができなかったことが、今日の自分ができないわけじゃない」

先入観があるのは良くなくて、そういうのを取っ払っていくことは重要なことだと思う。そうおっしゃっていた紹介者さんの話を聞き、自分自身の有限な日々の中で先入観で夢を遠ざけてしまうような局面がないだろうかと照会しながら聞いていました。

うん、たくさんありますよね〜。

『本好きの下剋上』香月美夜さ

地震が発生し、棚から落ちてきた本に圧殺された本好きな主人公が異世界に転生するお話です。

転生先した先は、世界全体の識字率が低く本が珍しい世界。そんな、今回みたいな読書会の行われている現代日本とは真逆の世界で主人公が下剋上していくというお話です。

「キャラクターたちは志を持っており、それがこの本の魅力です」

紹介者さんは海外から日本にいらしゃった方です。紹介者さんも志を持って異国である日本に来たからこそ本好きの下剋上に惹かれたのではないかなと、個人的に考えながら聞いていました。

「文体は、大変読みやすい、スラスラ読める文章です」

この話を聞きながら、今度英語でスラスラ読めて面白い文体の小説を教えて欲しいなと思いながら伺っていました。(まさに後半戦でそんな本を紹介してくれるわけですが笑)

本日のワークショップ

さて本日はこれらの本を紹介していただいたあとに、ワークショップをしました。

あらためて、お題はこれ。

本の中から想定外の告白(広い意味で)だなぁ……という文を探してもらいました。

今日は他のお題も含めると計8つの回答をいただきましたので、そのうち4つをご紹介します。

なお、ネタバレ含むため嫌な人は飛ばしてください。

回答例①『 i 』西加奈子さんより

こちら物語の冒頭の一文なのでネタバレではないと思いますが、イヤな方は読んでからご覧ください。

出題者
出題者

想定外の告白……なんて言われた?

この世界にアイは存在しません』

この物語は学校の先生のこの一言から物語が始まるそうです。物語導入がオシャですね。

回答例②『本好きの下剋上』香月美夜さんより

こちら物語のネタバレが含まれているかもしれないので、イヤな方は読んでからご覧ください。

出題者
出題者

想定外の告白……なんて言われた?

失敗してないよ、条件付きで採用されたもん』

扉を開けた瞬間になぐさめてきた家族に対しての、主人公の言葉です。家族、いろいろ早すぎますね笑

回答例③『君と会えたから……』喜多川 泰さんより

こちら物語のネタバレが含まれているかもしれないので、イヤな方は読んでからご覧ください。

出題者
出題者

想定外の告白……なんて言われた?

自分がこの世界に生きた証を作りたかったから』

この言葉は、いろいろなことを教えてくれる女の子が男の子に言うひとことです。物語の全概要は分からないのですが、なんとなく非常に大事な、なおかつとても想定外な告白な気がします。

回答例④『有頂天家族』森見登美彦さんより

こちら本のネタバレというほどのものは含まれていませんが、イヤな方は読んでからご覧ください。

出題者
出題者

想定外の告白……なんて言われた?

『洛中のケンタッキーに入っている人間の半分はたぬきという統計がある』

嘘つけぇ。脳内から霜降り明星粗品ボイスで突っ込みが聞こえました笑

ということで、こんな感じで普段の読書会ではあまり触れられない一文をテーマにしてみると、これはこれで面白くて紹介された本をますます読みたくなってしまいました。(というか既にポチっていたり……笑)

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読書会、後半戦

星の王子さま(コミック版) ジョアン・スファールさん

星の王子さまのコミック版ということです。

「私にとっての星の王子さまの印象は’怖い’なんです」

小さなころお母さんが持っていたこちらの星の王子さまの絵本を読んでいたという紹介者さん。漫画版の星の王子さまはどこか暗い雰囲気がただよっていて、たしかに小さな頃に読んだら怖いかもと思いました。

しかしながら大人になった今再読してみたところ、ちょっと面白いと思うようになったとのこと。

翻訳も一般的に広く知られている小説とはちがい「こんにちは」を「こんちは」と言ったりするようで、表現方法や翻訳が変わるとこうも印象って変わるんだなと思いながら話を伺っていました。

星の王子さまは、実は以前も東京文芸部の読書会で紹介された方がいて、またそこでも述べられていたのですが様々な翻訳などがなされている本です。ファンの方が多い物語ですがマニアは様々な版を買うようです。

『人生フルーツサンド』大平一枝さん

エッセーです。

エッセーはその人の偏見などが強そうだと思って敬遠していたという紹介者さんが、本屋さんで表紙を見て思わずジャケ買いしたという本書。

タイトルの「人生フルーツサンド」というのは著者さんがよく買うフルーツサンドへの尊敬の意をあらわしてつけているそうです。

フルーツサンドというのは、見た目がいいものが売れるものですが、著者さんがよく行く店のサンドは中身までギッシリ詰まっており、自分自身もそういう人間になりたいという内容などが書かれています。

「そういうふうに思える感性っていいな」

と語る紹介者さんのお話を伺い、本を読む中で新しい素敵な感性に出会えるというのは、エッセーもいいものだなと思いました。自分もエッセーあんまり読んでこなかったので。

冒頭で偏見が強そうと紹介者さんがおっしゃっていた印象を別の側面から捉えてみると、エッセーは著者の世界の切り取り方がダイレクトに表現されやすい文章であり、それゆえに紹介者さんも素敵な感性に出会えたのかもしれないなと思いました。

『SHELF LIFE』NADIA WASSEFさん

エジプトの本屋さんの10年間を書いたノンフィクションです。

カフェも併設されたエジプトの書店のライフが、お客さんとのやりとりやパートの方とのトラブル、盗難対策など様々な視点と一緒に描かれています。

シェア型書店で”棚”主をやっている自分としてはとても興味深く話を伺っていました。日本では、相当数書店が減少していたり、未会計品持ち込みOKなカフェが現れてからすぐにそういうルールは見なくなったり、個人経営のオシャレな書店が増えたりしていますが、、、エジプトはどうなんだろうか、みたいな。

この本は日本語訳はまだされていないので洋書版しかないということなんですが、なんとも気になることを紹介者さんが言っていました。

「文体はハリーポッターより簡単だと思う」

とりあえず購入しましたが、本当にハリーポッターより簡単かはこれから読んで判断させていただきます笑

『リーチ先生』原田マハさん

芸術、特に絵画をモチーフにすることが多い原田マハさんが本書で扱うのは”陶芸”です。

主人公は外国人で、舞台は1909年頃を中心に物語が繰り広げられます。

「この話は構成が秀逸なんですよ」

どうやらこの物語は1950年代に1909年頃を回顧するようなかたちで始まるようなんですが、過去の出来事と1950年代の話がうまく絡まりあって伏線回収されていく構成がとても面白いんだそうです。

「マハさんの文体ってエネルギッシュでアツいんですよね」

主人公が前向きに物事をとらえるからこそ、自分がつらいときなどもエネルギーをもらえると紹介者さんはおっしゃっていました。

小説からエネルギーをもらうっていうのもよさそだなぁと思いながら伺っていました。

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その後

読書会後は今回は4人でランチに行きました。

次回は7月28日09:30~読書会を新宿にて開催する予定です。

ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。是非読書会にお越しいただき当記事の感想ください笑

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